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隠れたニーズ「田舎のトランクルーム」を経営するための具体的な方法
※記載情報は記事公開当時のものです。最新の状況はお問い合わせください。
トランクルーム経営をはじめたいと思ったら、何より気になるのが立地。
「ものの置き場所に困っている」というニーズが十分になければ、経営がなりたちません。
そう考えると、住むには便利な場所だけれど相場的に大きな家は借りられないような都市部が、トランクルームをはじめるのに見合っているといえます。
一方、私は現在、いわゆる地方の田舎に住んでいます。
基本的にみな家が大きく、住宅と同じような立派な納屋のある家庭もめずらしくありません。
「敷地内に古い母屋があり、その隣に新しく別宅を建てて、今はほぼ別宅でのみ生活をしている」なんて家もたまにあります。
土地もスペースも余っていて、一見トランクルームなんて必要なさそうに思えます。
しかし、もしかしたら田舎だって「ものの置き場所に困っている」という隠れたニーズがあるのではないか?
そんな風に思い、考えてみることにしました。
田舎で「ものを保管したい」というニーズはあるのか
「空き家バンク」という制度を聞いたことがありますか?
住む人がいなくなった空き家を登録しておいて移住希望者に貸すという仕組みです。
地域によって自治体やNPOが主体となって運営されています。
田舎では人口がどんどん減っています。
それにともなって、空き家も増えています。
家は、人が住まなくなると空気が滞り、あっという間に痛みます。
特に、水周りはすぐに使えなくなります。
そのまま放置しておくと、いつ崩れてもおかしくないような廃屋になってしまいます。
様々な自治体で問題になっており、解体費用に補助金を出している自治体もあるほど。
同時に、廃屋にしないための仕組みもつくられています。
そのひとつが「空き家バンク」なのです。
空き家問題を解決しつつ、移住者を受け入れて人口も増える、一石二鳥の制度です。
しかし、「空き家はあるのに、空き家バンクへの登録が思うように進まない」という問題も耳にします。
登録したがらない理由は「知らない人に貸すのは怖い」「いつかは自分が住みたい」など家主によって様々ですが、特に「家が片付かない」「こんな状態で見せるのは恥ずかしい」という理由で登録しない家が結構あります。
家主が近所に住んでいる場合もありますが、遠く離れた都会に住んでいるというケースも多くあります。
小さい頃は田舎で育ち、進学や就職をきっかけに都会へ引っ越し、盆暮れ正月には実家に帰る生活。
それが、両親の他界や、施設への入居や同居をきっかけに、実家が空き家になってしまうケースです。
空き家となった家には、幼い頃の記憶や家族との思い出が、膨大な荷物とともに残っています。
「このままにしておくわけにはいかないことはわかっているけれど、週末ごとに帰って片付けるのもままならない」というご家族の気持ちもよくわかります。
現在の状況では、空き家バンクに登録して家を貸し出すためには、これらの荷物はほぼ捨てることになります。
引き取り・処分には数十万円かかることも(自治体によっては補助金が出ます)。
かといって、空き家のままにしていては大切な家もあっという間に痛み、誰も住めない状態になってしまいます。
そこで、トランクルームの出番です。
トランクルームに家財を移動すれば、家屋は空きますし、家族は思い出を処分する必要がなくなります。
借りてくれる人が現れれば、家は廃屋にならずにすみますし、トランクルームの費用も家賃で補えるでしょう。
たまの長期休暇にトランクルームによって、懐かしいアルバムを眺めたり、小さい頃に描いた絵を発掘したりしながら、すこしずつ思い出を整理していく。
それは、家族にとっても家にとってもやさしい選択になるのではないでしょうか。
田舎における土地活用の実態
「田舎」といっても様々なレベルの地域がありますよね。
私の住む地域での、土地活用について簡単にご紹介します。
九州北部の半島、山と海に恵まれた温暖な土地です
駐車場
99%車社会ですが、市内にはコインパーキングは存在しません。
人が集まるところにはたいてい広い無料駐車場がありますし、空き地も豊富にあります。
路駐で駐禁とられたなんていう話も聞いたことがありません。というわけで、駐車場経営は成立しません。
アパート
アパートは飽和状態というよりも完全に余っていて、「3ヶ月家賃無料」なんていう物件があるほどです。
しばらく前まではとある大企業の工場があり、周辺のアパートにはそこで働く人たちが住んでいました。
しかし、ついに工場が撤退することになり、現在の惨状に至ります。今後さらに人口は減る一方なので、アパート経営も成り立たないでしょう。
コインランドリー
最近、突然コインランドリーが乱立しました。以前なら十分採算がとれたでしょうが、コインランドリー同士の距離や周囲の人口を考えると、完全に飽和していると思われます。
人が少なく、土地が余っている。そんな地域は全国あちこちにあります。トランクルーム経営をはじめても、そもそも人口が少なく土地が余っている田舎ではとても採算が取れそうにありません。
しかし、それこそが狙い目です。
トランクルームを経営する具体的な方法
トランクルーム経営をはじめるにあたって考えなくてはならないのは、トランクルームの種類と運営方式です。
1)トランクルームの種類
コンテナ型
屋外の広いスペースにコンテナを並べて貸し出すタイプ。土地さえあればコンテナを置いてはじめられます。
空調を設置できないので、温度・湿度調整が効かず、かびが発生したりする可能性があるのが難点です。
預けるものを選ぶので、利用料は比較的安価。
屋内型
建物の内部をパーテーション等で仕切り、個別のスペースとして貸し出すタイプ。
新しく建物から作ると初期投資がかさみますが、空き店舗や事務所スペースをリフォームする形であればはじめやすいそうです。
屋内なので、温度・湿度も調整できますし、掛け軸や古文書のような大切なものでも安心して預けられそうです。
2)運営方式
事業用定期借地方式(コンテナ型)
運営会社に対して土地を貸し出すタイプ。オーナーは毎月決まった地代を受け取ります。
リースバック
オーナーが土地に建物を建て、運営会社が一括で借り上げるタイプ。オーナーは毎月固定の賃料を受け取ります。
業務委託
オーナーが土地に建物を建てて、経営を行うタイプ。管理については運営会社に委託し、オーナーは毎月委託手数料を運営会社に支払います。
田舎でトランクルームを経営するのであれば、コンテナ型の業務委託形式が現実的でしょう。
一軒家の家財道具一式を預かると考えると、結構なスペースが必要です。
初期投資の大きさを考えると、コンテナ型のほうが安全です。
もし、大きな建物を持っているか、あるいは格安で借りられる当てがあるのであれば、屋内タイプを検討するのもいいですね。競合との差別化もはかれます。
運営に関しては、借り手が見込めるのであれば、業務委託形式のほうが手取りが多くなります。
そもそも、運営会社に経営をまかせっぱなしでは立地的に集客が見込めず、契約が成り立たないのではないでしょうか。
田舎でのトランクルーム経営は、地の利を生かし、自分で経営をするからこそ収益が見込める業態なのではないかと思います。
田舎でトランクルーム経営をする可能性とリスクについて
実際に、田舎でトランクルーム経営が成り立つのでしょうか。
ポイントは、自治体との連携だと思います。
さきほど紹介した空き家バンク制度ですが、多くの場合自治体が絡んでいます。
空き家バンクは、その自治体の移住政策とも関連していますし、人口維持はどこでも深刻な問題です。
また、危険家屋を発生させないという意味でも、空き家バンクは有用な制度です。
トランクルームを活用することによって、空き家バンクへの新規登録が増えるという自治体のメリットを、自治体の担当部署に積極的にアピールします。
自治体が直接借り上げてくれることはないでしょうが、空き家の家主や空き家バンク利用希望者にサービスを紹介してくれる可能性は十二分にあります。
そうすれば、広告費にお金をつぎこまなくても、スムーズに借り手を見つけることができるでしょう。
しかも、一度借りられたトランクルームは、解約されにくいといえます。
荷物は多く、家主は遠方に住んでいる状態です。よほどのきっかけがなければ、荷物を一気に処分するということはないでしょう。
一方、リスクとしていちばん考えられるのは、新規業者の参入です。
コインランドリーの乱立についてお話しましたが、同じことがトランクルームでも起きる可能性があります。
トランクルームは比較的参入障壁の低い業態です。
土地の活用法を探している地主はたくさんいます。「儲かる」とわかれば、同じようなトランクルームがたくさんでき、結果的に余ってしまう可能性があります。
ただし、なかなか解約されにくいという点を考えれば、初期に利用者をしっかりと確保することによって、ある程度安定した経営を見込めそうです。
まとめ
ここまで、田舎でトランクルームを経営する可能性について考えてきました。
しかし、実は私は空き家バンクを利用して移住してきた立場なので、土地を持っていません。
田舎に広い土地を持っているけど、税金ばかりかかってうまく活用できてないという方。
もし地元に空き家バンク制度があって、自治体の協力を仰げそうであれば、トランクルームを経営してみませんか?
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(初稿:2024/3/27 最終更新:2024/3/27)