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田舎の両親と共に高利回りと噂のトランクルーム経営をしてみた結果……
※記載情報は記事公開当時のものです。最新の状況はお問い合わせください。
私の実家は、名古屋駅から車で40分ほどの小さな地方都市にあります。
代々の旧家で、明治以降は繊維業などを営んでおり、電車が1時間に3本しか無いような片田舎ですが、土地だけはかなりの広さがあります。
しかし近年は東南アジアをはじめとする新興国の製品に押され繊維業は衰退。
我が家も工場をたたむことになりました。
すると、できることと言えば空いた土地を貸すことくらい。
大きいところでは大規模パチンコ店、自動車ディーラーなどが決まりましたが、全ての土地を有効活用するのは難しい状況。
そこで東京に住む私のアイデアで、高利回りが期待できると噂の「トランクルーム経営」に乗り出すことにしたのです。
トランクルーム経営の成長性と利回りに期待する
都心部を中心に需要は年々増加
私自身は現在、世田谷区に住んでいるのですが、自宅の近くにはビル1棟がそのままトランクルームになっているところがありますし、首都高などを走っていても、「トランクルーム」「レンタル倉庫」といった看板をよく目にします。
またここ最近「職住近接」という考え方が浸透してきたため、都心部に引っ越してくる人が増え、そういう人の住環境は、郊外に住んでいる時よりも居住スペース、特に収納スペースが縮小傾向にあります。
結果的に、都心部ではトランクルームの需要が増しているのです。
東京でのこのような傾向は、数年かけて地方に拡がっていきますから、「地方でもトランクルーム経営の将来は明るいのではないか」と考えたわけです。
アクセスの良さは重要
田舎では車での移動が必須。
そしてトランクルームの場合は季節ごとに洋服や冷暖房器具などを出し入れするため、車でのアクセスが重要となってきます。
その点、うちの実家は国道23号という交通量の多い幹線道路沿いにあります。
また隣接する土地をパチンコ屋に貸しているため、700台収容の駐車場をトランクルーム利用者にも自由に利用してもらうことができます。
15〜35%の利回りがうたわれている
「ビジネスとして将来性がある」「うちはアクセスの良さはバツグン」ということで、両親もかなり乗り気になってきました。
とどめは15〜35%とうたわれている高い利回り!
愛知県のマンションやアパート等、一般的な不動産投資の利回りが平均「5.5%」程度と言われているので、この利回りは破格です。
これが決め手となり、早速資料を取り寄せ、トランクルーム経営に乗り出すことになりました。
実際、期待したほどの高利回りは難しかった
結果から申し上げると、実際には言われているほどの利回りを得ることは難しく、10%を少し上回る程度といったところでした。
そもそも家が広い田舎では需要が少ない
うちの実家は名古屋から車で40分くらいにあるため、そこまで地価が高いというわけではありません。
そのため建坪(建築面積)が30坪を割るような、東京近郊のような狭小住宅はほとんどなく、結果として「収納スペースに困っている」世帯はそんなに多くなかったのです。
とは言え、名古屋のベットタウンということで、マンションやアパート住まいの方もそこそこいることから、まあ何とかやっていけていますが、貸し出しているトランクルームが全て埋まるというのは難しい状況が続いています。
税金面でのメリットが少ない
田舎の土地持ちの1番の悩みは、「固定資産税」です。
この固定資産税をどう圧縮するか、また支払うための財源をどう確保するか、日々頭を痛めています。
その点アパート・マンション経営であれば、固定資産税の小規模住宅用地の特例が適用され、最大1/6まで圧縮することができます。
しかし住宅利用ではないトランクルーム経営ではこの特例が適用されません。
そのためアパート・マンション経営より少しくらい利回りが良くても、結局は行って来いとなってしまうのです。
かかる費用が段違い!コンテナ型とルーム型
トランクルーム経営を始めるにあたり、コンテナ型とルーム型、どちらを選択するかということが問題となりました。
設備投資額がかなり変わってくるからです。
ちなみにうちの実家はコンテナ型をメインに、ルーム型も一部取り入れることにしました。
コンテナ型 とは
コンテナ型は屋外型ともいわれます。
敷地に貨物用のコンテナを配置し、場合によってはその中の空間を仕切り、トランクルームとして貸し出すというものです。
コンテナ型のメリット・デメリット
コンテナ型のメリットは、なんといっても「開業するまでにかかるコストが低い」ということです。
比較的安いコンテナを利用してトランクルームの施設を作るため、建物を建築する必要がなく、ルーム型に比べ初期投資がかなり少なくて済むのです。
デメリットは、コンテナ内の温度・湿度管理をすることが難しいため、トランクルームとしての用途が限定されてしまうこと。
コンテナの場合、昼は日光にさらされて内部温度が上がります。
しかし夜になると今度は急に温度が下がります。
この温度差で庫内に結露が発生し、カビなどの原因になってしまうのです。
そのためコンテナ型は衣類や本、その他貴重品の保管には向いていません。
また敷地内に巨大なコンテナが積み重なっている様は威圧感があり、景観的にあまり良いものではありません。
このあたりは後々後悔したポイントです。
ルーム型とは
ルーム型は屋内型とも呼ばれ、通常のマンションやオフィスビルの空間を仕切り、そのスペースをトランクルームとして貸し出すというものです。
都心部ではこちらのタイプが一般的と言えます。
ルーム型のメリット・デメリット
ルーム型のメリットは、屋内であるためエアコンを設置すれば温度・湿度管理が比較的容易にできるということです。
そのため屋外型では収納することが難しかった衣類や書籍などの収納にも利用することができます。
また既にマンションやオフィスビルを所有している場合、入居していない部屋をトランクルームに流用することが容易という点もメリットとなります。
デメリットは、新築で始める場合、設備投資がかなりかさむということです。
そのため既に所有しているアパートやマンションが古くなってきて借り手がつかなくなった場合の転用が向いています。
初期費用はどれくらいかかるのか?
コンテナ型の場合、まず一般的に使われているコンテナが50万円程します。
その他にコンテナを運んできて設置する費用、内部を仕切ったりする整備費用を含め、コンテナ一基でおおよそ100万円が相場です。
うちの実家の場合は、とりあえず10基設置しました。
ルーム型の場合はピンキリです。新築なら数億円単位ですし、既存の建物を転用するならパーテーションなどで仕切るだけでも対応できる場合もあります。
運営方式は3種類
トランクルームを経営し、運営していくには3つの方法がありあます。
リースバック方式(一括借上方式)
コンテナなどの施設や建物を土地オーナーが設置、建設し、トランクルーム業者に賃貸する方式です。
この場合はトランクルームの運営は業者が行い、土地オーナーは稼働率に関わらず、毎月一定額の賃料を受け取ります。
運営の手間がかからないこと、また稼働率に関わらず一定の収入が得られるのは魅力ですが、業者に運営費を引かれるため、利回りは低くなります。
業務委託方式
コンテナの設置や建物の建設だけではなく、運営も土地オーナーが自ら行う方式です。
その上で、業者にはユーザーの集客や運営に必要な各種管理業務、運営実務を委託します。
運営の手間がかからないのはリースバック方式と同じですが、経営は自ら行なっているため、稼働率が低ければ収入も低くなり、稼働率が高ければ収入も高くなります。
うちの実家はこの業務委託方式で経営しています。
事業用定期借地方式
トランクルーム業者に土地を定期借地のみするという方法です。
業者は借りた土地にコンテナなどを設置し、自ら経営します。
土地オーナーは普通に土地代を毎月受け取るのみで、実際にはトランクルーム経営とは言えません。
まとめ
トランクルーム経営は、たしかにマンション・アパート経営に比べれば利回りは高いです。
しかし、そもそも初期投資金額が少ないので、「身入り」という点ではそれほどでもありません。
ただ土地を遊ばせておくよりは、固定資産税くらいは捻出できるため、両親も「まあトントンならいいか」くらいの気持ちで経営を続けています。
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(初稿:2024/8/8 最終更新:2024/8/8)
この記事を書いている人
文:友三郎(40代・元歌舞伎役者、現ファイナンシャルプランナー)